随時、最新の法改正や新制度をお知らせしてゆきますので、ときどきチェックしてください。
兼務役員と執行役員
【兼務役員】
原則として雇用保険の被保険者にはなりません。
ただし、役員でありながら労働者性を有する「兼務役員」であれば、次の要件をすべて満たせば雇用保険の被保険者となります。
①雇用契約関係が明確に存在していること
②部長、工場長など社員の身分があること
③給料支払があり労働者的性格が強いこと
※役員報酬より給与が多い場合は、社員としての立場が大きいと判断されます。
【執行役員】
執行役員は、社員の最上位職という位置づけで、最近は中小企業でも執行役員制度を導入する会社が増えています。
執行役員制度のメリットとは、
①経営の効率化、意思決定の迅速化
本社、工場等の責任者に大きな権限を与えることで環境変化に即応し、組織の意思決定を迅速に行うことができる。
②業務執行区分の明確化
個々の組織の業務執行者を区分し、責任の所在を明確にすることができる
③取締役会の機能の強化
個々の組織の業務執行を執行役員に任せることで、それらの処理から解放され、取締役会本来の機能である「会社全体の経営方針の決定と取締役の業務執行の監督業務」に専心できる。
【兼務役員と執行役員の相違点】
兼務役員 | 執行役員 | |
身 分 | 取締役 | 社員 |
選任機関 | 株主総会 | 取締役会 |
任 期 | 2年以内 | 会社が決定 |
会社法の適用 | あり | なし |
取締役会の出席義務 | あり | なし |
報酬・賞与 | 取締役分は株主総会の決議 | 株主総会の決議不要 |
執行役員は雇用契約だけでなく、委任契約とすることもできます(混合もあり)。
執行役員の位置づけを明確にするためには「執行役員規程」が必要です。
次の留意点を押さえて作成してください。
・執行役員は社員(会社法上の使用人)か否か
・執行役員に適用される社内規程は何か
・執行役員の職責は何か
・執行役員が遵守すべき一般的事項は何か
雇用型の執行役員であっても、位置づけが明確でない場合、税務上の「みなし役員」と看做される可能性があります。
出張旅費を支給する場合に、出張に要した費用を実費精算する会社と実費精算しない会社があります。
🔳実費精算する場合
例えば、広島~東京1泊2日出張の場合、新幹線代+宿泊代=32,000円であれば、出張旅費として32,000円を実費精算します。
飲食代、手土産代等まで精算対象にするかは会社によって異なります。
個別の実費精算を煩雑に思われたら、出張旅費規程に基づき旅費を定額制にする方法があります。
🔳実費精算しない場合
出張旅費の相場は、社長ならば、往復グリーン車、宿泊代14,000円、日当5,000円/日。
広島~東京1泊2日出張の場合、新幹線代40,000円、宿泊代14,000円、日当5,000円×2日の合計64,000円とします。
実費精算だと32,000円だったものが、定額制ならば64,000円が経費となり、しかも社長が受け取る実費との差額32,000円には所得税がかかりません。
🔳注意点
実費精算をしない方法は、会社の経費削減に逆行しますし、税務署も世間相場と乖離する出張旅費は否認します。出張旅費規程を制定する際には、税理士さんに相談をして無理のない設定をしてください。
世間相場は公表されていませんが、下表の企業実務アンケートの結果が参考になると思いますので掲載しておきます。
【国内・海外出張旅費に関する調査2017年】
区分 | 社長 | 取締役 | 部長 | 課長 | 一般 |
国内宿泊料 | 14,242円 | 11,784円 | 9,870円 | 9,443円 | 8,723円 |
国内宿泊出張旅費 | 4,799円 | 3,518円 | 2,809円 | 2,593円 | 2,222円 |
海外宿泊出張旅費 | 北 米 部長級6,189円 一般5,080円 | ||||
中 国 部長級5,604円 一般4,603円 | |||||
東南アジア 部長級5,710円 一般4,677円 |
平成25年4月1日から、契約期間が通算5年を超えた労働者が申込めば有期労働契約を無期労働契約に転換できるルールがきました。
通算契約期間のカウントは、平成25年4月1日以降に開始する契約からです。それ以前の契約期間は通算されません。
なお、有期労働契約とその次の有期労働契約との間に6ヶ月以上の空白(クーリング)期間があれば、それ以前の契約期間は通算されません。
上記とは別に、有期労働契約については、雇用保険の離職理由に次のようなルールがあります。
🔳雇用期間3年以上
直近の契約更新時に今回が最後と通知した
・契約更新の希望あり→契約期間満了による離職→特定受給資格者
・契約更新の希望なし→契約期間満了による離職→受給資格者
直近の契約更新時に今回が最後と通知していない
・会社が契約更新しない→会社都合による離職→特定受給資格者
・社員が契約更新しない→自己都合による離職→受給資格者
🔳雇用期間3年未満
直近の契約更新時に今回が最後と通知した
契約期間満了による離職→受給資格者
直近の契約更新時に今回が最後と通知していない
契約更新の確約があった
・契約更新の希望あり→契約期間満了による離職→特定受給資格者
・契約更新の希望なし→契約期間満了による離職→受給資格者
契約更新の確約がなかった(更新する場合があるを含む)
・契約更新の希望あり→契約期間満了による離職→特定理由離職者
・契約更新の希望なし→契約期間満了による離職→受給資格者
🔳注意点
雇用期間3年以上で直近の契約更新時に今回が最後であることを通知していない場合の雇止めは、契約期間の満了ではなく会社都合による解雇になります。
また、特定受給資格者が被保険者数の6%を超えると(6%を超えても3人以下である場合を除く)各種助成金が一定期間受給できなくなることがあります。
(3)を除き、平成24年10月1日から施行されます。
(1)「事業規制の強化」
1.日雇派遣の原則禁止
日雇派遣(日々又は30日以内の期間を定めた雇用形態)については、管理責任の不備による禁止業務派遣や二重派遣などの法違反、労災のおそれが指摘されていました。
このため、日雇派遣は原則禁止とされました。ただし、日雇労働者の適正な雇用管理に支障を及ぼすおそれのない業務(いわゆる17.5業務)と、雇用機会の確保が特に困難な「高齢者」、「昼間学生」、一定の「副業として従事する者」及び「主たる生計者でない者」は、日雇派遣禁止の例外とされました。
2.グループ企業内派遣の制限、離職した労働者の元の企業への派遣禁止
グループ企業における労働者派遣事業については、正規労働者を派遣に切りかえ、労働条件を引き下げるおそれが指摘されていました。
このため、グループ企業内の派遣会社が、同一事業年度中に当該グループ企業に派遣できる割合は、8割以下に制限されることになりました。
また、退職した労働者(定年退職者を除く)を退職後1年以内に派遣労働者として受け入れることも禁止されました。
(2) 「派遣労働者の無期雇用化や待遇の改善」
1.派遣労働者の無期雇用への転換推進措置の努力義務化
派遣労働者の雇用の安定が図られるよう、1年以上の有期雇用の派遣労働者については、本人の希望に応じ、無期雇用の派遣労働者又は通常の労働者として雇用する、紹介予定派遣を通じて派遣先での直接雇用を推進する、無期雇用への転換推進のための教育訓練等を行う、といった措置が派遣元事業主の努力義務とされました。
2.派遣労働者と派遣先の労働者との均衡等の考慮
派遣労働者の待遇の確保を図るため、派遣元事業主は、派遣労働者と同種の業務に従事する派遣先の労働者との均衡等を考慮し、賃金の決定、教育訓練や福利厚生について配慮をしなければならないとされました。
3.いわゆるマージン率等の情報提供の義務化、派遣料金明示の義務化
安心して派遣労働という働き方を選択できるよう、派遣元事業主の情報提供を進め、派遣労働者がより適切に派遣元事業主を選択できるようにする必要があります。
このため、派遣元事業主に対し、マージン率や教育訓練の内容等の情報提供が義務付けられました。併せて、派遣元事業主は、派遣労働者の雇入れ、派遣開始及び派遣料金改定の際に、派遣労働者に対して、一定の派遣料金額を明示しなければならないとされました。
4.派遣契約の中途解除への対処
いわゆる「派遣切り」により不用意な派遣労働者の解雇、雇止めが社会問題となりました。
このため、派遣先は、労働者派遣契約の解除に当たって、派遣労働者の新たな就業機会の確保、派遣元事業主による休業手当等の支払に要する費用の負担その他雇用の安定を図るために必要な措置を講じるものとされました。
(3)「違法派遣に対する迅速・的確な対処」
1.労働契約申込みみなし制度の創設
違法派遣の是正にあたっては、派遣労働者の雇用を確保しつつ、派遣労働者の保護を図る必要があります。違法状態に至るには派遣先にも責任があると考えられ、一定の違法派遣の受け入れをした派遣先に対して派遣労働者の保護につながる形で、ペナルティを科すこととされました。
具体的には、
・派遣労働者を禁止業務に従事させること
・無許可・無届の派遣元事業主から労働者派遣を受けること
・期間制限を超えて労働者派遣を受けること
・いわゆる偽装請負を受けること
があった場合には、派遣先が当該派遣労働者に対して、派遣元における労働条件と同じ内容で労働契約の申込みをしたものとみなすことになりました。
この労働契約申込みみなし制度の施行日は、原則の法施行日(本年10月1日)から3年経過後です。
従業員数100人以下の事業主について猶予されていた3つの育児・介護制度が平成24年7月1日より全ての事業主に適用されます。
平成24年7月1日までに就業規則等を整備して、新制度に対応しておきましょう。
適用されるのは次の制度です。